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地元の想いを、首都圏の通勤電車に乗せて

東京で光る“地元発”交通広告の力

近年、東京各地の駅構内や東京発着の電車内で、地方の名産品や観光地、おすすめスポットを紹介する広告を目にする機会が増えている。

地方企業や自治体が、地元ではなくあえて首都圏に広告を出稿する背景には、都市生活者との新たな接点を創出し、地域経済の循環を生み出すという明確な意図があるようだ。

とりわけ交通広告は、日々の通勤通学といういつもと変わらない日常生活の中で触れる情報が記憶として残り、あるとき不意に消費者の行動を誘発するきっかけになるという。

首都圏と地方とを結ぶ交通網のいたるところに掲出されている交通広告は、いまや地方発の戦略的コミュニケーションの場として注目を集めている。

通勤電車で見つけた「ふるさと」

日本最大の利用者数をかかえるJR山手線の車内。中吊り広告には「北海道○○町のふるさと納税で極上のホタテを」というポスターが並ぶ。

通勤中のビジネスパーソンが電車内のポスター広告からQRコードを読み取り、スマホでサイトを閲覧しながら熱心に返礼品のリストを確認している。

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ふるさと納税寄附者の大半は、もちろんその狙いに沿って首都圏在住者である。

そのため、現地で広告を掲出するよりも、寄附者層が多い東京で発信した方が効率的だ。つまり、東京を中心としたエリアの交通広告に掲出するメリットは大いに期待される。また、地方出身が集まる首都圏では、地元の記憶を喚起させることで購買を促すという効果もあるようだ。

実際、ある東北の自治体では、都内主要駅での交通広告キャンペーンを実施した結果、寄附件数が前年の約2倍に増加したという話がある。

単なる産品訴求ではなく、「地域の想い」を丁寧に伝えたことが、都市生活者の共感を呼び起こした要因と考えられている。

このように、地方自治体や地元企業が東京エリアで交通広告を展開する動きが近年活発化している。目的は単なる知名度向上ではなく、「都市に暮らす人々の意識をふるさとへと向ける」ことにあるのであろう。

旅先を決めるのは、ふと見たポスターから

交通広告の価値は、「偶然の出会い」にある。

デジタル広告のようにターゲティング精度は高くないが、むしろそれが交通広告の強みである。日常生活に広告が溶け込み、ふとした瞬間に記憶の中に呼び起こされ、普段では意識の外にあったことが突然最優先の関心事となる。まさに潜在層へメッセージを届けることを目的とした広告の代表格である。

とりわけ北陸、東海、東北、関西、九州など全国各地へつながる交通の発着点となる東京は、観光プロモーションにうってつけの場所だと言えるだろう。

たとえば、九州の観光協会が都内主要路線で展開した「温泉×読書」をテーマにした交通広告では、瞬く間にSNSで拡散され「#電車で見たあの広告」という話題が広まった。その影響から、キャンペーン期間中の旅行予約件数は1.5倍にも増加したという。

まさにこれは交通広告が旅のきっかけを生み、「行きたい場所」そのものとなった好例である。

就活ポスターがつなぐ、首都圏と地方の未来

進学や就職をきっかけに地方から首都圏への人材の流出が深刻な問題となっている。昨今の企業が抱える人材不足はさらに加速しており、少子高齢化社会における採用難の状況は今後も変わらず大きな問題として企業が向き合うことになるであろう。

このような状況において、IターンやUターン就職の促進においても東京を含めた首都圏エリアでの広告展開は間違いなく効果的であると言える。

まさに採用市場の中心である首都圏で認知を得ることは、優秀な人材へのリーチにつながる。加えて、地元出身の学生に「地元企業への誇り」を再認識させるという副次的な効果も生まれる。

実際、四国のある企業が渋谷駅に大型ビジョン広告を掲出した際には、「東京で地元企業の広告を見ると誇らしい」「地元に帰って働くのも悪くない」という声がSNSやネットを通じで多く寄せられたという話がある。その結果として、Uターン就職希望者の応募数は前年比で約1.8倍にも増加したという。

地方企業にとって東京エリアの交通広告は、もちろん採用手段としての目的が大きいことは言うまでもないが、さらに突き詰めて考えるのであれば「都市と地方、企業と人をつなぐメッセージ発信の場」となりつつあるのだ。

東京エリアで交通広告を掲出するという行為は、単純に東京で広告を展開するという一義的なものではない。
それは地方企業や自治体が、自らの価値や文化を発信し、人と地域の関係性を再構築するための重要なコミュニケーションツールとなることだろう。

毎日数百万人もが行き交う駅や電車。その一瞬の視線の先に、遠くの町の風景や、懐かしい地元の名が浮かぶ。

東京で交通広告を展開するということは、地方の声を可視化することと同義である。

それは人と地域を再び結びつける“縁”となるだろう。

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